2015/8/2 
オフ企画〜磯のウミウシ観察会〜

場所:和歌山市加太城ヶ崎海岸
時間:12:30〜16:00

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オフ企画として,和歌山市加太にある城ヶ崎海岸でウミウシの観察会を実施しました.
城ヶ崎海岸は,大阪湾の湾口部に位置し,湾内でも有数のウミウシスポットです.
この海岸だけでも100種類近くのウミウシが今まで見つかっています.


今回の観察会参加者はなんと30名!!
ネイチャー大阪のウミウシ観察会スタッフや加太で長年生き物の調査を行っている研究者の方々にも手伝って頂きました.
はじめに加太の環境とウミウシの見つけ方について簡単に話をした後,さっそく採集開始です.






みなさん思い思いの所で石をひっくり返しウミウシを探しています.



これはミルという緑藻の一種です.
ミルには,ヒラミルミドリガイやミドリアマモウミウシなど数多くのウミウシがついています.



こうやってバケツの中でミルをふるいます.
すると...

大きさ3 mmほどのクロミドリガイの子どもです.
触角の先端が黒色をしているのが特徴です.
大きくなると10 mmほどになります.


ミルからはもう1種見つかりました.ミドリアマモウミウシです.
こちらも,クロミドリガイに比較的近いグループです.
ミドリアマモウミウシの仲間は,分類学的検討が十分にされておらず,複数の種類が含まれているのではないかと言われています.




シュノーケリングで採集している参加者もいました.
色々な種類のウミウシが見つかっていました.
↓↓↓


シロウミウシ Chromodoris orientalis
大きさ:30mm前後  田中広樹氏撮影
アオウミウシと同様今の時期に大きな個体がたくさん見つかります.
ウミウシ類には色の特徴がそのまま和名になっている種類が多くいます.


ツメウミウシ? Notobryon clavigerum?
大きさ: 22.8mm 田中広樹氏撮影
 加太でも稀にしか見ることのできない珍しいウミウシです.
このウミウシの仲間は触角に鞘(さや)をもつのが特徴です(写真では上側が頭).
夏から秋にかけて見られます.


メリベウミウシ属の一種 Melibe sp.
サイズ不明 田中広樹氏撮影

こちらも秋頃になると至るところで見つけることができます.
メリベウミウシは,大きな口(写真左)を巾着のように広げることにより,小さなエビなどの甲殻類を一網打尽にして食べてしまいます.



タコもとれました.

今回は天気があまりにも良すぎたので,採集時間は1時間と短めにしました.
それでも,たくさんの種類が見つかりました.


オカダウミウシ Vayssierea felis
大きさ:3mm前後
1年中見つかるウミウシです.
大きさは3mmていどと非常に小さいですが,石の裏などに多数ついていることがあり,比較的見つけやすいウミウシのなかまです.
ウズマキゴカイのなかまを餌としています.


アオウミウシ Hypselodoris festiva
大きさ: 25mm前後 田中広樹氏撮影
ウミウシの中では一番知られている種類かもしれません.産卵期は,夏から秋にかけてで,今の時期は2匹ペアで見つかることが多いです.タイドプールにある転石の表面でよく見つかります.



セスジミノウミウシ Flabellina rubrolineata
大きさ9 mm程 田中広樹氏撮影
背中の正中線に沿って青いスジが入っているのが特徴です.
冬になるとアカエラミノウミウシと共によく見られます.


ヤツミノウミウシ Herviella yatsui
大きさ: 9mm前後
潮間帯上部の転石の裏にいることが多いです.
少し泥っぽい底質に埋まっている転石の下にいます.
ヤツミノウミウシは岸和田でも見つかっています.


アカエラミノウミウシ Sakuraeolis enosimensis
大きさ:15-25mm前後 田中広樹氏撮影
赤からオレンジ色の突起をもつミノウミウシのなかまです.
今の時期は少ないですが,冬になると大量発生します.


ミノウミウシ Anteaeolidiella indica
大きさ: 12mm 田中広樹氏撮影
少し砂礫に埋もれた転石の裏によくついています.
ミノウミウシもオカダウミウシと同じく,1年を通していつでも見つかる種です.


コマユミノウミウシ Cuthona pupillae
大きさ: 3mm前後
大きくなっても1 cmにもならない小型のミノウミウシのなかまです.
このサイズが見えるようになると確認種はぐっと増します.
転石裏のホソトゲガヤ類?が群生しているところを注意深く探せば見つかります.



セトミノウミウシ Setoeolis inconspicua
大きさ: 30mm前後 田中広樹氏撮影
体や触覚に青いラインのはいるあざやかなミノウミウシのなかまです.
種小名のinconspicuaは「目立たない」という意味なのですが,見た目の通りかなり派手な色合いをしているので,磯では簡単に見つけることができます.

採集の後は,日陰で見つけたウミウシの同定会を行いました.

「ウミウシ」に焦点をしぼった初めての観察会でしたが,天気にも恵まれ,たくさんの種類を見つけることができました.
ウミウシは季節により,見つかる種類が全く異なります.
次回は春頃にも開催してみたいなと思っています.



また,現在当館1階フロアにて大阪湾のウミウシを水槽展示しています.
観察会で採集したウミウシたちもいますので,是非見に来て下さい.


 


■お問い合わせ先■
〒596-0072 大阪府岸和田市堺町6-5 きしわだ自然資料館
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